経済産業省が2018年に発表した資料の中に、「2025年の崖」という表現があることはご存じでしょうか? これは2025年までに企業のDX化が進まない場合、アナログ業務の非効率さやITシステムの老朽化、セキュリティの問題などで日本の経済界に最大で年間12兆円の損失が発生するという予測を、【崖】という言葉で表現したものです。DX推進の必要性は数年前から叫ばれていますが、まだ多くの企業では請求書発送業務のようなアナログ業務が残っています。業務の効率化や、テレワークのような働き方改革も阻害してしまう紙の業務。

今回は請求書電子化のメリットや、電子化のポイントなどについて解説していきます。

DX化と働き方改革を阻害する紙の業務

DX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めていかなければ業務の効率が下がり、業績の悪化も懸念されるが、社内のデジタル化が進まない。また、紙を扱う業務がまだ社内に多く残っていて、働き方改革やテレワークを推進したくても完全には実施できない。現在、このような悩みを抱える企業が急増しています。2025年の崖というキーワードを知ってはいても、多くの企業では具体的に何から手を付けてよいか分からないというのが正直なところでしょう。

特にバックオフィスにはいまだに紙文化とはんこ文化が多く残っていて、これがテレワークを阻害する要因にもなり、月末の業務集中もあるために働き方改革も進みません。例えば請求書の発行については社内の事情だけでなく先方の都合もあり、まだ紙での発行を行わなくてはならないという事情もあることでしょう。ただし紙の請求書発行は、集計や印刷、封入、発送などの多くが手作業のため、とても非効率でコストもかかります。DXの推進にはデジタルデータのシームレスな連携が必要なのですが、このようなアナログ作業がボトルネックとなってしまうのです。

そこで今注目を集めているのが、請求書の電子化です。他にもペーパーレス化することによって効率化できる業務にはさまざまなものがありますが、請求書の電子化には郵送費の削減やセキュリティの向上など、多くのメリットがあります。次章ではそのメリットとデメリットを確認していきましょう。

請求書電子化のメリット・デメリット

請求書電子化のメリットとデメリットは、発送側、受け取り側双方にあります。それぞれを分けて確認していきましょう。

発送側のメリット・デメリット

メリット
  • 社内のペーパーレス化推進
    請求書を電子化することにより、DXの第一歩といわれるペーパーレス化を進めることができます。紙の情報を他の業務で使うには必ずひと手間必要になってしまいますので、まずは情報をデジタルに変換するペーパーレス化が必要です。
  • 印刷、紙、郵送、封入などのコスト削減
    電子化すれば、紙代、インク代(トナー代)、郵送費などのコスト削減になります。一つ一つは小さなコストでも、取引先の数と毎月必ずかかるコストを考えれば削減効果は小さくないでしょう。
  • 過去データの検索がしやすくなる
    請求書のデータをデジタル化することで、検索効率は飛躍的に上がります。また、事務用のファイルに綴じて保管しておく必要もなくなります。
  • 誤封入のリスク低減
    紙の場合には、封筒に請求書を入れ間違えてしまうといったケアレスミスの可能性がありますが、電子的に請求金額と請求先などの情報をひもづけておけば、基本的に誤送信はありません。
  • 修正、再発行が容易
    例えば請求金額の計上ミスで修正が必要になったとしても、電子データの修正による請求書の再発行なら迅速に行うことができます。紙の請求書を再発行して郵送すれば、どうしてもタイムラグが発生してしまいます。
  • 時間短縮と手間の節減ができ、コスト削減
    請求書発行までの手間と時間を短くすることができ、月末集中のような場合の残業代も削減することができるでしょう。また、節約できた時間は他の作業に振り分けることもでき、バックオフィスの作業全体を効率化できます。
  • 押印のために出社する必要がなく、テレワークが可能になる
    押印や発送のためだけに出社する必要がなくなり、テレワークの普及や働き方改革の推進に役立ちます。このような改革はオフィススペースの節約や通勤費の節減にもつながり、バックオフィスのペーパーレス化がいかに効果的なのかを実感することができるでしょう。
  • セキュリティ性が高くなる
    受け取り側に送信するデータを暗号化したり、システムをログインパスワードで保護したりすれば、請求業務全体のセキュリティ強化につながります。
デメリット
  • システムの導入・運用に経費がかかる
    請求書の電子化には、例えばクラウドで提供されているような請求書発行システムの導入が必要になります。システムの導入と月々の運用には経費がかかりますので、導入に際しては経営陣に費用対効果の説明を十分行っておくことが大切です。コスト低減のような「見える効果」と、セキュリティ向上のような「見えにくい効果」をアピールし、導入はDX化にとって必要な投資だと理解してもらいましょう。
  • 紙で取引する取引先が一定数残り、作業が複雑化する
    電子化を取引先に強制するのは、好ましいことではありません。自社で電子化のシステムを導入しても、紙の取引を希望する取引先が一定数残れば作業は二重となり、かえって手間がかかることになるでしょう。取引先には前もって説明の機会を設け、時間をかけて説明して理解を得るようにしましょう。
  • システムの導入・運用に際しては社内外(特に取引先)の理解を得る必要がある
    上記は取引先に理解を得る必要がある、という話ですが、同様に社内でもシステム導入の理解を得る必要があります。両方に共通することは、費用対効果について丁寧に説明することです。社内には自社の利益となるシステムの導入であること、取引先には取引先にとってもメリットのあることだと説明していきます。
  • ITシステムの利用に慣れていない従業員へのケアが必要
    社内の従業員は、全員がソフトウエアの扱いにたけているわけではありません。中にはITを苦手とする人がいることも考え、時間をかけて説明会や研修会を行いましょう。また、部署ごとにシステムの質問窓口となるような人を置き、操作に不安な人がすぐに質問できる環境を作ることも大切です。

受け取り側のメリット・デメリット

メリット
  • デジタルデータで受け取れば、自社システムでも簡単に利用できる
    請求をデジタルデータで受け取ることができれば、CSV形式で出力するようにして自社のシステムで活用することができます。手作業で転記する必要がないので、ケアレスミスを軽減することができます。ミスを軽減できれば、手戻りによる余計な工数も削減できるでしょう。
  • 請求書発行から受け取りまでのタイムラグがない
    遠方から請求書を受け取る場合に発生していたような、タイムラグ(郵送期間)がありません。何らかの理由で再発行を受ける場合でも、素早く請求書を受け取ることができます。
  • 過去データの検索がしやすくなるシステムの導入・運用に経費がかかる
    請求書が電子化されたことにより検索効率が上がり、保管の費用や手間もかかりません。
デメリット
  • 相手先のシステムと同じシステムを導入しなければならない可能性がある
    請求書発行システムによりますが、相手先と同じシステムを導入しなければならない場合があります。複数の取引先がある場合は、請求書を処理する業務が複雑化してしまうことも考えられるでしょう。ただし現在はクラウドベースのアプリケーションが増えているので、WebからIDとパスワードを入れることにより請求書を取得できるシンプルなシステムが主流になっています。
  • システム導入のために費用がかかる場合がある
    上記のようなWebベースのシステムであればほとんど費用はかかりませんが、受け取り側でシステム導入が必要な場合には費用が発生することがあります。ただしそのような場合には、発送側が費用を負担するようなケースもあるようです。

このように、請求書の電子化には発送側、受け取り側双方にメリットとデメリットがあります。ただしデメリットについては、事前の対策を行うことによりかなりの部分を軽減することができます。次章では、電子化の注意点(デメリットを軽減できるポイント)について解説していきましょう。

請求書の電子化で注意すべきポイント

  • 電子帳簿保存法、e-文書法への対応を確認

    1998年に成立した電子帳簿保存法(電帳法)は、国税関係帳簿書類の電子データでの保存を可能とした法律で、成立以降も改正が重ねられています。e-文書法は「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の総称で、2005年から施行されています。電帳法は2015年と2016年の税制改正によって要件緩和が行われ、現在ではスマートフォンで撮影した画像などの保存も認められています。システムを導入する場合には、この2つの法律に対応していることで、より利便性が高くなります。また、それぞれの法律で定められた画像保存方法の運用にも留意しましょう

  • 取引先の運用も考慮したシステム選定

    取引先(受け取り側)にもアプリケーションの導入が必要なシステムでは運用が難しくなります。ほとんどのクラウドシステムであれば、特別なシステムの導入をする必要はありません。取引先の運用も考慮したシステムの検討が必要です。

  • 費用対効果を確認する

    システムによって自動化する作業を事前に検討し、費用対効果を確認しておきましょう。システムの導入に当たっては、従来の作業フローを見直すといった全体的な効率化を念頭に置きましょう。

  • 取引先への周知徹底

    取引先には事前に連絡し、システム導入への協力をお願いしましょう。システムの導入で、取引先にもメリットがあることを強調して理解を求めましょう。

  • 社内への周知と導入教育

    ITシステムに不慣れな人が困らないように、社内への周知と導入教育を徹底しましょう。周知に当たっては、会社全体の効率化に寄与することを分かりやすくアピールしましょう。

まとめ:請求書の電子化には取引先の協力が必須

請求書の電子化には、請求書を受け取る取引先の協力が必須となります。せっかく電子化のシステムを導入しても、システムを使えない取引先が多ければ従来の方法で請求書発行を行わなければならないからです。その点、クラウドの請求書発行のシステムであれば、取引先に負担を掛けない運用が可能となります。

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