インタビュー・会談

【オンライン会談】
在庫管理ツール「スマートマットクラウド」が、最小の変革で最高の成果を生んだ

企業の資産である資材や商品、原材料など、業種を問わず求められる在庫管理。正確な数量確認、適正タイミングでの発注などが求められる重要業務であるものの、資材数が膨大になる場合も多く、想定外の需要によって起こる突発的な数量変動、勘や経験に頼った発注に起因する過不足など、煩雑かつ多くの課題を抱えています。

今回ご登場いただいたイオンクレジットサービスさまは、2,993万名超の(2021年11月末時点)クレジットカード会員を有しており、取り扱い資材は、その数200種類以上。

目視での数量確認、メールやFAXで行う発注作業の業務改善を模索されていたそうです。その課題解決のために導入したのは、マットの上に資材を置くだけで在庫管理と発注を自動化できるIoTデバイス「スマートマットクラウド」。さらにWeb購買管理サービス「オータスカリPro」との連携によって、大幅な業務改善を実現しました。

DX推進は、既存の作業プロセスからいかにスムーズに新ソリューションへと移行できるかによって、その導入の成否やその後の円滑な運用にまで影響を及ぼします。「スマートマットクラウド」最大の魅力も、まさにその点。今回はイオンクレジットサービス株式会社の横田さんに自社の課題や導入の経緯、業務改善の実績などを、「スマートマットクラウド」を展開する株式会社スマートショッピングの下原さんに、その他のソリューションとの違いやメリットについてトッパンフォームズ(現 TOPPANエッジ)が伺いました。

新型コロナウイルス感染拡大の情勢を考慮し、オンラインでのインタビューを実施しました。

ゲスト

イオンクレジットサービス株式会社
カードプロセスセンター
横田 真樹さん

株式会社スマートショッピング
執行役員 兼 SMC事業本部長
下原 良輔さん

インタビュアー

トッパン・フォームズ株式会社

販促担当

企画販促統括本部プロダクトソリューション本部
サプライ販促部
MD企画販促G

関 英昭

営業担当

営業統括本部 本社事業部
金融第二本部 第四部 第一G

望月 永遠

※ 所属・役職、本事例の内容は執筆当時のものです。
※ トッパン・フォームズ株式会社は2023年4月1日付でTOPPANエッジ株式会社に社名変更いたしました。


「オータスカリPro」の活用で自動化推進の思いが加速

望月:イオンクレジットサービスさまでは、入会申し込みのあったクレジットカードを自社設備で発行し、書類の同梱・発送までを一貫して行っています。弊社でも封筒や台紙、挨拶状といった資材をご発注いただいていまして、2017年には、発注から納品までをWeb上で一元管理できる「オータスカリPro」を導入していただきました。

イオンクレジットサービス株式会社 横田さん

横田さん:「オータスカリPro」の導入は私が現部署に配属になる前のことなんですが、あまり活用できていなかったようなんです。発注作業をいまだにFAXで行っていると知って、「便利なツールがあるなら使わない手はない」と思い、本格的に活用を開始しました。

関:それまで活用できていなかったのには、なにか理由があったんでしょうか?

横田さん:ほかの業務に追われていたこともありますが、ネットを活用して行う業務改善にうまく取り組めていなかったのだと思います。私は以前からITに興味があったので、積極的に実行できただけですね。

トッパンフォームズ 望月

望月:横田さんの異動が転機になったんですね。その後、「オータスカリPro」で発注書類のデジタル化や業務の自動化ができたことで、多くのメリットを感じていただけたかと思います。

横田さん:ペーパーレスでのコスト削減や作業時間の短縮はもちろん、発注漏れや過剰発注などのミスも減少できました。しかし、まだまだ在庫管理業務全体では課題がたくさんあったんですよね。

望月:例えば、どんなお悩みがあったんでしょうか?

横田さん:主に在庫数の確認業務ですね。取り扱い資材が約200種類 、封入パターンが約700と多いため、在庫の目視チェックだけで毎日3~4時間を要していました。催事があると申込数が増えて資材が急激に減ることもあり、こまめな在庫確認が欠かせなくて。

関:在庫管理にお悩みの企業では、数量確認が負担になっているという声をよく聞きます。どう解決していいのか分からずに、結局は人海戦術で対応するしかないと。

横田さん:弊社もそうでしたね。さらに担当者の勘や経験に頼った発注作業が、資材の過不足を生むリスクもずっと気がかりだったんです。「オータスカリPro」で自動化が一歩進んだので、これらも改善できないかと考えていたところ、今回導入した「スマートマットクラウド」を偶然見つけたんです。

オペレーションの変更なしに自動化を叶える手軽さが魅力

下原さん:「スマートマットクラウド」は、どのようなきっかけでお知りになったのでしょうか?

スマートマットクラウド

横田さん:図書館で借りた、最新IoT技術を紹介する書籍に紹介されていたんです。重量を感知するマットで何を乗せてもいいし、マット数台を連結してマルチマット対応もできる、自動発注も可能といった概要を読んだ瞬間に「コレだ!」って(笑)。まさに弊社の業務に適したツールだと思いました。

望月:ビビッときたんですね(笑)。そういった情報収集をされているなど、横田さんご自身がとても積極的に業務改善に取り組んでいますよね。

イオンクレジットサービス株式会社 横田さん

横田さん:もともと興味があったのと、自分自身の経験が大きいかもしれません。この部署にきてすぐの頃は資材のことも業務のこともまったく分からず、取引先であるトッパンフォームズさんに教えを乞うこともありました。今後、私と同じような人が配属されたときのために、知見がなくても理解・対応しやすい状況にしておくべきだと痛感したんです。業務改善はもちろん、自動化はその環境づくりのための手段でもありますね。

下原さん:DX推進や成功には、そういった担当者さんの意識が非常に大きく影響すると考えているので、ツール開発側からすると横田さんの思いの強さはとてもうれしく思います。

望月:そうですよね!でも、「スマートマットクラウド」に出合う以前に、ほかのツールを導入しようという動きはなかったんですか?

横田さん:RFIDを候補として挙げたことはありました。「スマートマットクラウド」とはまた違ったアプローチで、在庫管理ができますよね。

下原さん:RFIDは個体識別や追跡調査に優れたツールですね。ただ、個別にICタグの貼付が必要になるので、資材数や管理方法によっては手間が増えてしまうこともあるかと思います。

横田さん:弊社でもそこが難点でした。取引先さんに依頼するのも申し訳ないし、自社での対応も難しい。導入によって別の業務が増えてしまっては本末転倒なので。

関:「スマートマットクラウド」は、RFIDとは違う視点のアプローチなんですよね。

株式会社スマートショッピング 下原さん

下原さん:そうなります。「スマートマットクラウド」は個体識別やトレーサビリティーはできませんが、導入に必要な作業はマットを置くだけ。資材を定置管理する最低限のルールさえあれば、現状のオペレーションを変更しなくていいというメリットがあります。

横田さん:そこが弊社に合致したんですよ。弊社の資材は一部単位で管理する必要はなく、スマートマットの上にあるモノの変動が分かればいい。現在の棚の位置などを変更することなく、マットを敷けばいいだけという手軽さが、とてもありがたかったんです。

下原さん:業務の流れに影響なく、面倒な手間だけを省くことができるのが「スマートマットクラウド」の特長。導入ハードルの低さは最大の魅力だと自負しています。

Webセミナーで利点を再確認し、即時テスト導入へ

望月:「スマートマットクラウド」を知って、すぐに弊社に取り扱いがあるか問い合わせしていただきましたね。

横田さん:日頃からお付き合いがあるので、会社としても、個人的にも安心ですし、きっと取り扱っているんじゃないかと思って(笑)。その判断は見事に正解で、すぐに「スマートマットクラウド」のWebセミナーがあるとご紹介いただきました。

トッパンフォームズ 関

関:下原さんに登壇していただいた、商品や事例紹介をしたWebセミナーですね。横田さんや部署の方々が参加してくださって、積極的にご意見やご質問をいただいたことを覚えています。その後、テスト導入もすぐにご快諾いただきましたよね。

横田さん:とても分かりやすい説明だったので、弊社にピッタリだという確信が高まっていたんですね。テスト導入はこちらでも即決でした。

関:実は弊社の工場でも「スマートマットクラウド」を活用して資材の管理をしているんです。実体験として、このツールの魅力は運用後にこそ分かっていただけると思うので、テスト導入までのスピード感に驚きつつ、本当にありがたかったですね。

横田さん:確かに、一連のオペレーションで活用してみたことで、導入作業のシンプルさや機能の使いやすさ、分かりやすさなどをとても実感できました。

望月:テスト段階で注視していた点はどういったところでしたか?

横田さん:一番は管理画面の見やすさです。欲しい情報だけが表示されるようカスタマイズができましたし、1,000項目まで一覧で見られるなど、ひと目で情報が理解できるようになっています。

下原さん:また、「情報が分かりやすく整理されている」「誰が見ても理解できる」という両方が大事ですよね。

横田さん:そうなんですよ。資材を置いている棚の番号を表示したり、資材の画像なども見られるようにしていただいたので、初めての人が見ても分かりやすいです。あとは、通知メールがちゃんと活用できるかも確認したかった点です。

下原さん:どんな通知メールが役立ちましたか?

イオンクレジットサービス株式会社 横田さん

横田さん:閾(しきい)値を超えた場合のアラートは便利ですよね。さらに毎朝届く在庫一覧の通知で、資材の過不足をすぐに確認できますし、想定外の変化を知らせてくれる異常検知機能もありがたいです。

望月:オペレーション面も大きく変わりましたよね。

横田さん:現場に行って目視する必要がなく、画面を見るだけで数量を把握できる圧倒的なスピード感で、大幅に作業時間が短縮できました。それらの結果を元にもっと多くの資材に活用した際のメリットを算出して、本格導入を上長に提案したんです。

関:提案時にはWebセミナーでご紹介した内容がとても参考になったそうですね。下原さんに講師をお願いして良かったです!

株式会社スマートショッピング 下原さん

下原さん:ありがとうございます(笑)。参加してくださった方は、業務改善に向けてさまざまなツール活用を検討しているものの、既存の業務プロセスに当てはめることに苦労している印象がありました。だからこそ、「スマートマットクラウド」の導入の手軽さについて、重点的にお話させていただきました。

横田さん:事前にWebセミナーでお話を聞いていたので、上長にうまく説明できました。さらに、弊社はクレジットカードを扱っているので、セキュリティも重要。クラウド利用の安全性を担保する資料作成にもご協力いただけたことで、スムーズに本格導入へと進むことができました。

閾値とWi-Fi接続の初期設定が、円滑な運用につながる

トッパンフォームズ 望月

望月:テスト時の5、6台から、本格導入では1,000台近いスマートマットを稼働することになりました。数が多いと、また違った苦労もあったんではないでしょうか?

横田さん:そうですね。まずは閾値の設定です。最初は月の使用量から算出した数値を当てはめてみて、運用しながら調整していきました。資材数も多いですし、微調整も必要になるため、「スマートマットクラウド」搭載の推奨閾値が分かるAI機能に助けられましたね。

下原さん:閾値設定は他ユーザーさまでもよく悩まれるポイントです。あと多いのは、Wi-Fiの接続安定性。

横田さん:マルチマットでつながりにくい場所があったのは事実ですね。相談したら、すぐに関さんやスマートショッピングの導入後支援チームが現場に来て改善してくださいました。

下原さん:その際は人力での解決になりましたが、業種によってはさらに広いスペースで1,000を超える資材を管理する場合もあります。Wi-Fiの安定した接続性を担保できるかは、弊社にとっても重要課題だと考えています。

関:この初期設定がスムーズに進めば、ツールが入っていることすら意識せずに普段の業務に活かしていただけますね。

イオンクレジットサービス株式会社 横田さん

横田さん:実際、現在はそうなりつつありますよ。新しいツールを放置してしまうときって、初期のトラブルが解決できないことが主な原因になると思っています。そうすると頑張って上長や社内を説得して、せっかく新しいツールを導入しても結局効果を出せずじまいになるケースも過去にはありました。今回、初めての設定が多く不安もありましたが、トッパンフォームズさんの手厚いアフターフォローがあって、本当に助かりました。

さまざまなAPI連携をかなえる、今後を見据えた柔軟性に期待

望月:今では「スマートマットクラウド」と「オータスカリPro」の連携もスタートし、在庫確認から発注までを一律で自動化することができました。

横田さん:連携以前は、在庫不足の通知がきたらメールで発注依頼をする流れだったので、ここも効率化したいと考えていたんです。すると、関さんから「両ソリューションが連携できるようになります」とご連絡をいただいたんです。

関:双方のシステム連携がかなえばもっと役立つツールになると、弊社内でも話が挙がっていたんですよね。そこで下原さんに相談して、開発をお願いしました。

株式会社スマートショッピング 下原さん

下原さん:「スマートマットクラウド」の特長は、現状の業務プロセスを残しつつ省人化を目指すという点。お客さまの既存システムと連携できるようになることは、我々としてもぜひとも取り組んでいきたい内容でした。

望月:今回は「オータスカリPro」との連携でしたが、ほかに相性が良さそうなツールというと、どんなものを想定されていますか?

下原さん:現在連携済みのツールとして、医療法人向けの受発注システムがあります。これから積極的に連携を模索していきたいものでいえば、会計システムや生産管理のシステムを考えていますね。

トッパンフォームズ 関

関:今よりもっと多くの業種業態の方にご活用いただけるようになりそうですね!

下原さん:さらに、他社では「スマートマットクラウド」とBIツールを使って分析をして、より良い閾値や発注点の管理に取り組んでいらっしゃるという話も聞いています。この点をさらに強化していきたいとも考えているんです。

横田さん:それはうれしいです!

下原さん:例えば「スマートマットクラウド」自体に簡易的な分析やレポート機能を持たせて、在庫の適正化や圧縮、欠品防止に役立てられるとか…。ユーザーの皆さまにとって業務効率化にお役立ちできるようなワクワクする機能を継続的にリリースできるよう開発を続けます。

トッパンフォームズ 望月

望月:ぜひ横田さんからも「こんなことができるといいな」というご意見をどんどんいただければ!

横田さん:実は随時お伝えしています(笑)。

下原さん:いただいています(笑)。実際にご活用いただいてからのフィードバックなので、非常に汎用性が高いものが多いです。すでに対応済のものもありますし、開発ロードマップに組み込んでいます。多くのユーザー様にとって、今後さらに便利になるような機能開発や改良を進めていく予定です。

コスト削減に加え、「人にしかできない仕事」を推進

望月:「スマートマット」の導入と、既存の「オータスカリPro」との連携を通して、得られた成果や実績について教えてください。

イオンクレジットサービス株式会社 横田さん

横田さん:資材管理や棚卸、発注業務などの費用でいうと、目標額を超える年間3,990千円のコスト削減を実現できています。

望月:目標額を超えた理由を教えてもらってもいいですか?

横田さん:毎日の在庫チェック、メールなどでの発注作業がなくなったこともそうですが、四半期ごとに行っている棚卸でも、想定を超える時間短縮ができました。これまですべての資材を人力で数えていたものが、CSVファイルを払い出して終了、ですからね。

望月:そういった作業時間の短縮がかなうと、ほかにできることも増えますよね。

横田さん:新しい企画に意見したり、さらに効率化できる提案をしたり。自動化できたからこそ、これまで手が回らなかった「人にしかできない業務」にシフトできています。

下原さん:自動化してシステムに任せた業務は、人的ミスが減るというメリットもありますよね。

横田さん:本当に、その相乗効果を実感しています。また、お客さまに発送する規約のデジタル化を進めることができたので、ペーパーレスでのコスト削減、お客さまへの利便性向上にも取り組むことができました。

関:そういった変革を経て、部署内で変化はありましたか?

横田さん:導入初期は私が先導して進める形でしたが、今はもう、ほかのメンバーのほうがツールに詳しいんじゃないでしょうか(笑)。どんどん自動化を推進していこうという雰囲気になっています。

関:それはうれしいですね!

横田さん:「スマートマットクラウド」が簡単に扱えたからこそ、「できる」と思えたんですよね。現在は、在庫管理に関わるスタッフ全員がマスター管理まで対応できるよう教育を進めています。急な変更があった場合でもすぐにマスターに反映ができ、その鮮度を常に維持できる状況をつくりたいんです。

望月:今後は蓄積したデータの活用にも注力したいと伺っております。その方向性などは決まっているんでしょうか?

横田さん:日別の動きの詳細が見えたので、さらに分析を進めて、適正な発注数量や納品数量に対応していきたいです。過剰在庫や過剰発注を抑制して発注コストの改善につなげていけるのではないかと考えています。

関:規約集のデジタル化で一部資材の管理が必要なくなったため、空いたスマートマットを別の資材庫で使用する準備も進めさせていただいていますし、まだまだできることがたくさんありそうですね。

横田さん:はい。その移設が完了すれば、弊社の資材帳票類は、すべて「スマートマットクラウド」で管理できるようになります。今よりさらに改善効果を出せると期待しているので、これからもご支援よろしくお願いします。

望月:こちらこそ、よろしくお願いいたします。
本日はありがとうございました!


※ 所属・役職、本事例の内容は執筆当時のものです。
※ トッパン・フォームズ株式会社は2023年4月1日付でTOPPANエッジ株式会社に社名変更いたしました。

2022.02.10

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